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チェックイン 15:00 / チェックアウト10:30 客室 / 客室全9室
風呂 / 貸切風呂2ケ所
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田舎土産 一話目〈 桐匠 根津 Vol.1 〉

田舎土産 一話目〈 桐匠 根津 Vol.1 〉

みなかみ町で桐箪笥、桐箱などの工芸品を製作している「桐匠 根津」は、大正6年創業となる桐の専門店です。桐は全て自社所有の山中で、純国産の苗木から育てた「新潟県 津南桐」のみを使用。雪深い山奥で育った国産桐は成長が遅く、寒さで身が引き締まり杢目も詰まって大変丈夫に育つそうです。表面を焼いて砥の粉(とのこ)で着色し、ロウ加工を施した「時代仕上げ」をはじめ、脈々と受け継いできた匠の技術と、現代的な家具やインテリア小物まで手がける幅広い感性で物づくりを行っています。

みなかみ町の月夜野に佇む「桐匠 根津」。フロントはショールームとなっています。

ショールーム内には自慢の桐箪笥をはじめ桐の加工サンプルや、生活雑貨「PAULOWNIA LEAF(ポローニアリーフ)」シリーズが並んでいます。

「桐匠 根津」の中でも人気の注文の一つとなるのが「桐箪笥のリフォーム」。古い箪笥を丁寧に分解し、各所の傷みを補修した後に表面をバーナーで焼いて炭化。真鍮ブラシを木目に沿ってかけて煤を払い、木目を美しく浮き立たせます。その後、独自に調合された塗装を施した上でロウ引きを行い美しく磨き上げていきます。退色を防ぎ美しい状態を長く保つこの工程は「時代仕上げ」と呼ばれ、「桐匠 根津」の代表技術の一つとなっています。古い箪笥が新たな価値観とともに生まれ変わるなんてとても素敵ですね。

「桐匠 根津」の技術を生かした「桐バッグ」。「時代仕上げ」で磨き上げた表面は、木目が引き立ち汚れや退色にも強い特徴を持ちます。重厚な見た目に反して意外なほど軽く優しい手触りも印象的。内側はレザーポケット付きでとても使いやすそうですよ。

工房内を案内してくれたのは、四代目を継ぐ「根津安臣」さん。三人兄弟の長男でいらっしゃいますが、次男、三男、そして先代である三代目とともに家族が一体となって仕事されているとのことです。理屈抜きに素晴らしい、本当の家族の絆を感じさせてくれますね。

切り口の真ん中に空いている穴は、腐ってできたものなどではなく最初から空いているとのこと。これは桐が樹木の仲間ではなく「ゴマノハグサ」科に属する草の仲間であることの特徴なのだそうです。それが証拠に「木と同じ」ような草と書いて「桐」だと教えていただきました。この穴を通じて地中の水を吸い上げているのだそうです。

この日は年に4〜5回行われる「製材」作業を行う日。桐を用途に合わせて必要な大きさへと加工していきます。

材を送り出す役と受ける役、高速で回転するノコギリに通すので互いの呼吸が大切です。

「受け継ぐ」という言葉が、日々の作業から伝わってくるワンシーンです。

製材された採材は敷地の一角に立てかけて、雪・冷風・雨にさらしながら灰汁(アク)を抜いていきます。

丸太の状態で最低3年、板にして約1年天日で乾燥させたら、使われるまで屋根の下で陰干しします。

こちらが完全に灰汁が抜けた採材。ここでやっと製品へと加工される状態になるそうです。

工房建物の二階部分は採材を板材や角材へと加工するスペース。

指定の寸法にカットする工程や。

板状に圧着する工程を教えていただきました。

一階部分は製品の仕上げを行うスペース。様々な工具が棚に整然と並べられています。

工房の一角には、先に紹介したリフォーム作業を待つ桐箪笥たちがズラリ。桐に長けた職人が殆どいなくなった今、最長で二年待ちになるほどの注文を抱えているそうです。

ここで四代目が「時代仕上げ」の焼きの工程を紹介してくれました。見学のお客様が試されると炎を木に当てる加減に戸惑うそうですが、しっかり炎を当てて一気に焼き上げるのが正解とのとこと。ご本人はさすがに慣れた手つきですが、炎の勢いはかなりの迫力です。

焼き上げた桐を真鍮ブラシで磨き上げる図。

「時代仕上げ」の特徴である木目の浮き立ちがよく分かります。

これは生活雑貨のオリジナルブランド「PAULOWNIA LEAF(ポローニアリーフ)」のカードケースを作る治具。

こちらも実際に桐材を当てて

切削加工の様子をデモンストレーションしていただきました。普段見る機会の少ないプロの現場は、作業の全てに興味を惹かれます。

こちらは今後ワークショップで作っていただこうと構想中の「マグカップ」と「カッティングボード」の試作品。自分の手でこれが作れるなんて今から楽しみが尽きませんね。

そして真打登場、尚文の宿主も開発に期待をかけていた「桐のiPhoneスピーカー」の試作品たち。

何度も試作を重ねながら一年をかけて完成したのはこのスペシャルバージョン。実際に聴かせていただきましたが、四代目が教えてくれたようにヴァイオリンなど高音の生きた楽器の音がとても心地よく響き渡ります。ビルエヴァンスのピアノの音色もとても優しい感じでしたよ。自然素材のスピーカーだからこそ、アコースティックな音楽との相性は抜群のようです。手持ちの音源を色々と試したくなるような出来栄えでした。

「桐のiPhoneスピーカー」は尚文の全ての客室に備えておりますので、お泊まりのお客様にはゆっくりと試聴していただけます。お気に入りの曲を鳴らしながら、のんびりとした時間を過ごしてみてください。

「桐匠 根津」には、尚文の各客室に備えるアメニティケースも作ってもらっています。「みなかみ」の誇る工芸工房と、田舎宿ならではのコラボレーション。桐と古木の持つ安らぎと寛ぎをぜひ感じてみてください。

INFORMATION

桐匠 根津
住所〒379-1313 群馬県利根郡みなかみ町月夜野262
電話番号0278-62-2715
営業時間9:00〜19:00
定休日毎週日曜日・お盆・お正月7日まで・ゴールデンウイーク ※御来店の際は電話でご連絡ください。
URLhttps://kirisyounezu.jimdo.com/